新たな命を育む春を感じ始めた今日、長い伝統を築いてきました大曲農業高校 生物工学科が閉科の時を迎えています。

昭和63年4月。農業科1学級を生物工学科に改編し、新たな学科、「生物工学科」が誕生しました。学科名でもある生物工学、つまりバイオテクノロジーは、当時の農業の最先端技術として注目されていました。そのため、生物学の知見を元にして、実社会に有用な利用法をもたらすための技術と知識を習得することのできる学科として各方面から期待されました。

私自身、生物工学科の2期生として、平成元年4月に入学し、研鑽を積みました。植物や微生物など、生き物が持つ優れた力を、さまざまな分野に役立てる方法を模索し、多くの実験をしていたあの時代。授業で学んだことが、実験を通して、自分の目で確認できたことで理解が深まり、また、時には新たな発見もあり、バイオの世界はとても神秘的で刺激的なものだったことを今でも思い出します。

私は恩師の姿に学び、教師になる道を選びましたが、本校生物工学科を卒業した多くの卒業生は、農業の分野はもちろん、国の重要機関や教育機関、医療などといった様々な分野で活躍されています。これも、31年間の長きにわたり、本学科を支え、慈しみ育てて頂きました地域の皆様、ご指導ご支援を頂きました歴代校長をはじめ、職員の皆様方のご指導によるものと感謝しております。

生物工学科としての一時代を終えようとしている今、改めて伝統の力は幅広く、力強いものであることに思いを馳せています。生を終えた大木の使命は、次の世代に命を引き継ぎ、繁栄させていくことであるように、新たに生まれ変わった園芸科学科もまた、生物工学科の教育理念を引き継ぎ、次の世代へと発展・成長させていくものだと考えます。

卒業生の皆さんには、この伝統ある大曲農業高校 生物工学科で学んだことに誇りを持ち、次世代を担う若者として、それぞれの道で更に精進を重ね、グローバルに考え、ローカルに行動し、地域社会に貢献できる人材に育っていくよう心から願っています。

そして、在校生のみなさん、今年度で生物工学科という名前はなくなりますが、31年という長い年月をかけて築き上げてきた生物工学科の土台を今後もなくすことなく、皆さんと一緒に園芸科学科を発展させていければと思っています。そして、学校生活で生まれる『楽しいこと、苦しいこと』が、心の中で『なつかしさ』として生き続け、やがて『生きる支え』になるよう、そして、自分が暮らす「ふるさと」を、高い志を持って支えることのできる『人』になるよう、日頃の学習や実習を通して学んでほしいと思っています。

園芸科学科が、そして、大曲農業高校が、さらには生徒の皆さんが益々発展・成長していくことを切に願い、閉科式のあいさつといたします。

 

平成31年3月2日

生物工学科長 大坂 淳